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「セーフティーなプレッシングという矛盾」FGO vol.61 

Football goes on vol.61

「セーフティーなプレッシングという矛盾」

フットピーポーよ!無敵艦隊がいよいよ安定航路入りましたな!プレビューでアイルランドの放り込みにどう対処するか?と書きましたが、なるほどね、答えは「特別な事は何もしない、自分たちのサッカーをやるだけ」でした。

ロングボール放り込まれようがディフェンスラインは下げない。ディフェンスラインを高く保つために、ロングボールの出し手には厳しくプレス。ロングボールを跳ね返した深い位置からの攻撃では、サイドに起点を作って、ディフェンスを釣り出してサイドチェンジ。崩れなかったらそれを延々繰り返して、できた穴に凄まじいパススピードの勝負パスを入れて勝負。アイルランドはノーチャンスでしたね。

この日は懸念のイニエスタもシルバもしっかりサイドに開いていて、特にシルバはキレッキレ。普通はセーフなちょっとしたスペースで、あんな必殺の仕事されちゃもうどうしようもありません。ただボールを持っている、持たされているポゼッションとは次元が違う、相手を後手後手に追い込む実効的なポゼッション。スペイン、仕上がりましたねこの1戦で。デルボスケやりますな。

そんな完璧な無敵艦隊とは裏腹に、やっちまったのが愛しのイタリアです。今大会のイタリアは時計の針が10年巻き戻ってます。そう、クラブシーン、CLで一気にイタリアの名門チームが勝てなくなったあの時期。守備的サッカーが攻撃的サッカーに敗北しだしたあの時期です。

TBSやWOWWOWの解説陣は今大会のイタリアを評して「攻撃的なイタリア」と位置づけていますね。これが全然分からない。唯一、異を唱えているのは、WOWWOW解説陣の中で一番信用している進藤さんだけ。そして昔からイタリアを見守る僕も同じ意見です。

確かに事前情報としてプランデッリはイタリアの戦術を攻撃的にすると宣言し、ポゼッション、そして前目からのプレスをアズーリに植えつけようとしていました。恐らく「攻撃的なイタリア派」はこの事前情報の事を言っているんだと思います。ただし現実のピッチにはまったく描かれていない。逆に守備的サッカーの代名詞と呼ばれる布陣「3-5-2」が描かれている訳です。

プランデッリのおかしな所のまず1つがここです。「掲げるサッカーと、それを実行する布陣の矛盾」です。まず3-5-2は決定的にプレッシングを実行するのに相性が悪い。それが3-5-2同士の戦いではあまり影響がないものの、スリーフォワード系の布陣と合わさるとまったくダメ。はるか10年前に、しかもイタリアのクラブチームが当事者になってクラブシーンで出た結論です。どうしたんだプランデッリ!

なぜプレスと合わないのか?3-5-2の最大の問題点なんですけど、サイドに人がいないからです。長いピッチサイドの縦に配置される選手はたった1人。スリーフォワード系の布陣ではだいたいサイドに2人配置されています。この初期設定から存在する数的不利が、前で守る事を不可能にします。結果3-5-2は5-3-2と化し、ゴール前で潰す守備方法に成り下がるわけです。

僕ら日本人にはお馴染みの光景でしょう。そうトルシエが導入した「フラットスリー」です。トルシエもプランデッリとまったく同じ事を言っていましたね「理想はプレスをかけてボールを大事にする攻撃サッカーだ」と。

3-5-2はポゼッションとも相性が悪い。いや無駄に持つだけのポゼッションとの相性は悪くないですよ、そんなポゼッションどんな布陣でもできます。スペインのような相手に後手を踏ませるポゼッションです。何故か?まずボール奪取の位置が深くなるので時間のかかるポゼッションでは相手守備陣が完成してしまうし、そして固められた真ん中をこじあけるサイドに選手がいないからです。

そして安全第一のはずの守備すらも、安定しない。何故か?もうバカの1つ覚えみたいですけどサイドに人がいないからです。布陣上に穴があるからです。約100mのピッチの縦を基本的にたった1人でカバーしなければいけないのが3-5-2なんです。

イタリアで言えばマッジョ、ジャッケリーニは1人で長さ100mのサイドエリアをカバーしなければいけない。守りはもちろん、攻撃もです。どうなるか?人間なら誰でも足が動かなくなります。その上で100mを2人でカバーする相手チームの元気なサイドの選手と2対1を強いられる訳です。もう罰ゲームですよそんなん。

昨日のクロアチア戦もまさにその3-5-2の弱点が浮き彫りになった展開でしたね。前半の足のあるうちはさすがは守備の国、そしてプレッシングの国イタリアな執念のディフェンスからのカウンターを見せていたものの、後半クロアチアが布陣を4-2-3-1つまり「スリーフォワード系」にチェンジしてくると後手に。再三サイドからピンチを招いて、最後はマッジョの右サイドから上げられたクロスをブチ込まれる。マッジョは責めれません。むしろ交代も無く2戦連続よくがんばったな、と。

なぜプランデッリはこんな事をやっているのか。やっぱり「ビビった」と思わざるを得ない。ディフェンスラインをなるべく高くしようとしたり、基本的にプレッシングをしたい痕跡は伺えます。でもそのリスクに耐えられず、サイドの攻防は選手の奮闘に託して、それよりも危険な4バックの真ん中にリベロを足してしまった。恐らくプランデッリは指揮官が思い描く究極の夢「セーフティーなプレッシング」に囚われてしまったんじゃないか、と。

「セーフティーなプレッシング」、たしかにあったらいいなと思います。ただそれはやっぱり矛盾なんです。「攻撃的守備」と呼ばれるプレッシングの最大の旨み、「高い位置で奪って高い位置から攻める」という事は基本的にリスキー。安全性を高める方法はそのスイッチを入れる状況判断を磨くのと、ピッチのエリアを均等にカバーするしかないんですね。

だからプレッシングを採用しないという選択もあります。プレッシングという守備方法を「高い位置からの攻撃」を目的とせず「時間とスペースを奪ってミスを誘う」という守備効果をメインに使うため、バイタルエリアという危険な位置で、限定されたゾーンでのみかける「ゾーンプレス」です。モウリーニョのレアル、バルサを倒したチェルシー、そして南アの我が代表の方法論です。

僕はイタリアは4-3-1-2でこの方法論を採用するもんだと思ってました。プランデッリともあろう戦術家が、なぜ既にその最大の発信源であったセリエAですらほとんど見られなくなった3-5-2にこだわるのか。もしかしたら新たな3-5-2の使い方を発見したのかと注視してみたものの、それは「がんばれ!」のみ。交代も含め戦術的な布陣的な担保は読み取れませんでした。そうなると志はどうあれ、ピッチ上では10年前と同じ問題点から、攻撃的サッカーをしかけるスモールクラブに食われる、ビッグクラブまんまの昨日のアズーリでした。

そんな戦術的矛盾を抱えながらも執念で引き分け、最終節はアイルランドが相手。まだ愛しのイタリアには充分グループリーグが突破できるチャンスが残っています。だけどとてもこの3-5-2ではトーナメントを勝ち抜く事はできないでしょう。中途半端な事はやめて、4-3-1-2でふてぶてしくカテナチオを仕掛けてくるか。悪魔超人カッサーノがキレているだけに充分機能すると思うのに…。最終節アイルランド戦でプランデッリが仕掛ける布陣に注目です。それでは!



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